襖紙や木材で構成されている本襖は、本来は保温性や調湿性が高く、梅雨や四季のある日本でも快適に過ごせる機能が備わっています。

しかし、ホコリや汚れ、空気の滞りなどがあると十分に機能が発揮されず、吸収した湿気を放出できなかったり、吸収し過ぎて傷みやすくなったりします。

また、敷居などにゴミが詰まっていると開閉時に動きを阻害して、無理に動かすと傷が残る可能性も…
小さな傷が一つでもあると、動かすたびに損傷が大きくなり、敷居が削れて変形が起こるかもしれません。

襖の枠や敷居が変形すると、開閉ができなくなったり襖自体が外れやすくなったりします。

また、汚れを放置していると、そこからシミやカビが発生する場合があります。
掃除をしないと湿気が溜まりやすくなり、カビが繁殖しやすい環境が整うためです。シミに関しても、原因が特定できないものはカビが関与しているケースが多いです。

カビが増えれば、そのぶん大量の胞子が飛散することになり、ぜんそくやアレルギーにも影響が出るため健康を害するおそれがあるでしょう。

襖にホコリやゴミが溜まると、見た目が悪くなるだけでなく、劣化や健康被害が出る可能性があるため、少しずつでも普段から掃除をする意識を持ちましょう。


襖のお手入れ方法

*風通しを良くする

襖の劣化を防ぎ快適な状態を維持するためには、こまめな換気が重要です!
湿気は襖を傷める原因になり、溜まることでカビが発生する危険性も高まるため、換気による対策がかかせません。

可能な限り、毎日窓を開けるなどして一日30分程度は部屋に風を通すようにしましょう。

襖は水分を吸収しやすい性質があるため、普段から濡れた手で触らないように気を付けるなど、接し方に注意することも大事です。

*「はたき」などでホコリを落とす

襖の表面は和紙が張られていることが多く、ホコリが付着しやすいです。
日常的な掃除としては、付いたホコリを落とすことが大事で、柔らかい「はたき」などを使って取り除きましょう。

和紙は水分を吸収しやすく、洗剤などの刺激に弱いため、基本的には水拭きなどは行いません。
また、硬いブラシなどを使用すると、和紙の表面が傷ついたり毛羽だったりする場合があり、強い力が加わると破れることもあるため注意してください。

襖紙の種類によっては、表面の素材がビニール製のタイプもあるので、その場合は水拭きや洗剤の使用も可能です。

*引き手周りを綺麗にする

襖の中で、最も人の手が触れて汚れやすい部分が引き手周辺です。
手垢などが付着した状態で放置するとシミになることもあるため、黒ずみができる前の段階でこまめに掃除する必要があります。

引き手の素材によっては、水拭きや洗剤の使用もできますが、襖が濡れないように注意しなければなりません。

手垢汚れが目立っているときには、消しゴムを使って汚れを落とすのが効果的です。
なるべく柔らかいタイプで白い消しゴムを準備して、襖が破損しないように力を調節しながら擦りましょう。

引き手の状態が悪い場合、最終的には交換も検討しましょう。

*敷居の溝に付いた汚れやホコリをとる

溝の汚れやホコリが溜まった状態で放置すると、滑り悪化の原因になります。

掃除機でゴミを吸い取る方法が簡単ですが、隙間に入り込んだホコリのすべては除去できません。
そのため、ブラシやほうきを使ってしっかりとゴミをかき出します。

溝と襖の隙間は輪ゴムを使えばキレイになります。
襖を少し浮かせて輪ゴムを差し込み、その状態で開閉すると見えないゴミも簡単に取り除けるので、ぜひお試しください!

*シミやカビが気になるとき

シミやカビに対しても柔らかい消しゴムは有効ですが、すべてを取り除けるわけではありません。

基本的に和紙タイプの襖に水や洗剤は使いませんが、どうしても目立つ汚れに対しては台所洗剤を使用することもあります。この場合は、綿棒に洗剤をつけて気になる部分を軽く叩くようにして汚れを落としてください。

ビニール製の襖であれば、水拭きやエタノールの使用も有効ですが、必ず乾拭きして残らないようにしましょう。

掃除の後には防水スプレーをしておくと、汚れがつきにくくなるためシミやカビの予防に効果的です